売掛金を現金化するための手段として注目される「ファクタリング」。
売掛金の入金日を待たずに、最短即日で資金を調達できる柔軟な方法として広く知られています。
また、「バランスシートをオフバランス化し、資産計上を軽減する効果がある」点も大きなメリットです。
これは、企業価値や収益性の向上に役立ち、企業全体の財務体質の健全化にも寄与します。
本稿では、「ファクタリングを通じたオフバランス化」に着目し、オフバランスの概要、利点と留意点、実際の利用方法について解説します。
さらに、ファクタリングがオフバランス化に適している理由についても詳しくご説明します。
ファクタリングを活用したオフバランス化とは?
まず、オフバランスの定義や利点・課題、具体的な方法について解説します。
オフバランスの概要
オフバランスは「オフバランスシート(off-balance sheet)」の略称で、企業が保有する資産や負債をバランスシートから切り離すことを意味します。
たとえば、不動産を売却して賃貸契約に切り替えるなどがこれに該当します。
バランスシート(貸借対照表)は企業の財務状態を表すもので、
「どのような資産を持ち、どのように資金を得ているか」を示します。
オフバランス化することでバランスシートを簡素化し、財務状態の改善が期待できます。
オフバランス化のメリット
オフバランス化のメリットとして、主に以下の3つが挙げられます。
企業価値の向上に貢献
オフバランス化によりバランスシートが簡素化されることで、ROA(総資産利益率)が向上します。
ROAが高まると「少ない総資産で多くの利益を生み出している」と評価され、企業価値が上がります。
加えて、自己資本比率が上昇するため、企業の財務基盤が強固であると見なされ、投資家からの信頼が高まります。
収益性の強化
オフバランス化によって財務構造が改善されると、収益性も向上します。
ROAや自己資本比率の増加により、企業価値が向上することで、投資家や取引先からの信頼も増し、新しいビジネス機会が得られやすくなります。
資金調達が容易になる
オフバランス化により財務状況が改善されることで、企業価値が高まります。
結果として、投資家や金融機関からの信頼が得られやすくなり、資金調達がスムーズに進む可能性が高まります。
オフバランス化によるリスク
メリットがある一方で、オフバランス化には以下のようなリスクも考慮する必要があります。
資金化できる資産が減る可能性
オフバランス化は資産の売却などで資金を得る方法ですが、これにより資産が減るため将来的に資金調達が難しくなる恐れもあります。
仮に資金が逼迫した場合、保有する資産が少ないと、迅速な資金調達が難しくなる可能性があります。
粉飾決算と見なされるリスク
資産や負債を意図的にバランスシートに計上しないことが不適切に行われた場合、
財務状態を実際よりも良く見せかける「粉飾決算」とされるリスクがあります。
オフバランスの利用は適切な範囲で行うことが重要です。
オフバランス化の方法
オフバランス化の手法として、以下の3つが代表的です。
- 不動産の売却
不動産売却は最も一般的なオフバランス化手段です。売却による資金調達が可能なため、資金繰りが悪化した企業には有効です。 - リースバック
リースバックは資産を売却後にリース契約を結ぶ手法で、同じ場所で事業を継続できる利点があります。 - ファクタリング
売掛金をファクタリング会社に売却することで入金日前に資金化し、バランスシートのスリム化が図れます。
ファクタリングはオフバランス化に最適な手段
オフバランス化を検討する際には、ファクタリングを手段として選ぶことが推奨されます。
銀行の融資と比較して、ファクタリングの方がROAが高くなる点が大きなメリットです。
たとえば、資産1,500万円、借入金500万円の企業の場合、ファクタリングによるROAは31.03%となり、
銀行融資よりも優れたパフォーマンスが得られます。
まとめ
オフバランス化によりバランスシートが軽量化されると、企業価値や財務の健全性が向上し、
資金調達がしやすくなります。ただし、意図的な資産・負債の計上省略は粉飾決算と見なされるリスクがあるため、
適切な手続きのもとで利用することが重要です。