非営利組織であるNPO法人にとって、最大の課題の一つは「資金源」です。
利益追求を目的としないものの、活動を継続するためには安定した資金が不可欠であり、資金が尽きると運営が困難になります。
では、NPO法人はどのようにして収入を確保し、資金繰りを安定させるべきなのでしょうか。
本記事では、NPO法人の資金繰りの特徴を解説し、サポーター制度の概要や利点・注意点、資金繰り改善のための有効な手段としてファクタリングについて詳しく紹介します。
ぜひ参考にしてください。
NPO法人の資金繰りの特徴
NPO法人は、営利を目的としない非営利組織の一形態です。
正式名称は「特定非営利活動法人」であり、特定の非営利活動を行う団体を指します。
非営利組織には一般社団法人や一般財団法人も含まれますが、NPO法人はこれらと比べて活動範囲が限定されており、公益性の高い20分野に絞られています。
NPO法人の主な収入源
NPO法人の収入は主に「会費・寄付」「事業収益」「補助金・助成金」の3種類に分類されます。
会費・寄付
まず最初に挙げられるのが、会費と寄付です。
会費は、会員から定期的に集められる安定した資金源であり、NPO法人への信頼の証でもあります。
また、会費の使用目的に制約がないため、柔軟に資金を運用することが可能です。
一方、寄付は、NPO法人の活動に賛同する個人や企業からの金銭や物品の提供であり、基本的には一度きりの支援となります。
寄付金は、特定の活動に対する場合を除き、使用目的に制限がありません。
事業収益
事業収益とは、非営利活動に関連する事業やその他の商業活動から得られる収入を指します。
具体的には、物品の販売や企業・自治体からの受託事業、児童保育や就労支援を通じた収益などが含まれます。
非営利活動の本質は利益を追求しないことですが、事業収益はNPO法人の活動を支える重要な資金源となっています。
補助金・助成金
補助金は、国や地方自治体がNPO法人の特定の活動や事業に対して提供する支援金です。
助成金は、設立や活動、事業の支援を目的として一時的に提供される資金です。
これらは審査を通過する必要がありますが、承認されれば大規模な資金を得ることができるため、重要な収入源となります。
ただし、補助金や助成金は不安定であり、支援内容が変更されたり突然終了する可能性があるため、依存しすぎないよう注意が必要です。
NPO法人は銀行からの融資を受けにくい
NPO法人の資金調達には「銀行からの融資を受けにくい」という特性があります。
その理由は、NPO法人が利益を追求しない組織であるため、銀行が融資の際に重視する「返済能力」が低く評価されるからです。
銀行は融資先の経営安定性を確保するために厳格な審査を行いますが、NPO法人は会費や寄付、補助金・助成金で活動を維持していることが多く、収益力が低いと見なされやすいです。
その結果、銀行からの融資を断られるケースが多く見られます。
資金調達の際は、銀行以外の手段を検討することが望ましいです。
NPO法人が利用できる「マンスリーサポーター制度」
NPO法人にはいくつかの収入源がありますが、非営利組織であるため収益力が限られており、持続的な資金調達が求められます。
そこで注目したいのが「マンスリーサポーター制度」です。
マンスリーサポーター制度の概要
マンスリーサポーター制度とは、毎月一定額を寄付することでNPO法人の活動を継続的に支援する仕組みです。
これにより、NPO法人は支援者の経済状況に応じた定額の資金を毎月受け取ることができ、安定した資金調達が可能となります。
また、寄付金の使用目的に制限がないため、非営利活動や関連事業に自由に資金を活用できます。
マンスリーサポーター制度の導入メリット
NPO法人がマンスリーサポーター制度を導入することで得られる利点は以下の通りです。
持続的な活動の実現
補助金や助成金は不安定な資金源であり、継続的な活動を支えるには限界があります。
一方、マンスリーサポーター制度を導入することで、定期的な支援者を確保でき、安定した資金を得ることが可能です。
これにより、長期的な活動計画の実現が容易になります。
クレジットカード決済の利便性
マンスリーサポーター制度では、クレジットカード決済が主流となっています。
銀行振込や郵便振込に比べて手軽に寄付できるため、特に若年層に支持されています。
さらに、クレジットカード決済を利用することで、資金調達に伴う事務作業の負担が軽減され、毎月自動的に寄付が行われるため、支援者の振り込み忘れも防げます。
支援者の拡大
マンスリーサポーター制度を導入することで、支援者に対してボランティアや職員の募集情報を発信できるようになります。
これにより、寄付をきっかけに新たな支援者を増やし、NPO法人としての活動や関連事業への効率的なアプローチが可能となります。
マンスリーサポーター制度の注意点
マンスリーサポーター制度を導入する際には、利点だけでなく注意点も理解しておく必要があります。
コミュニケーションの維持
クレジットカード決済を利用したマンスリーサポーター制度では、寄付が自動的に継続されるため、支援者とのコミュニケーション機会が減少する可能性があります。
その結果、NPO法人の理念や活動についての情報発信が不足し、寄付をやめる支援者が出てくるリスクがあります。
したがって、定期的な情報発信やコミュニケーションを継続することが重要です。
異なる世代への対応
クレジットカード決済は若年層に受け入れられやすい一方で、現金払いに慣れた世代やインターネットに不慣れな世代には抵抗感を持たれることがあります。
NPO法人として求める支援者像を明確にし、適切な支援方法を選択することが重要です。
マンスリーサポーターを増やす方法
マンスリーサポー
ーターを増やすためには、以下の戦略が有効です。
支援者の分析
まず、現在のマンスリーサポーターがどのような人々であるかを把握することが重要です。
既存の支援者のデータを収集・分析し、共通の特徴を見つけ出すことで、ターゲットとなる新たな支援者へのアプローチが容易になります。
寄付への感謝を示す
単発で寄付を行ってくれた方々には、その都度感謝の意を伝えることが大切です。
感謝のメッセージを通じて「あなたの支援がNPO法人の活動に不可欠である」と伝えることで、継続的な支援へと繋げることができます。
感謝と依頼のタイミングを分ける
感謝の気持ちを伝える際に同時に寄付をお願いすることは避けるべきです。
感謝と依頼を別々のタイミングで行うことで、支援者に対する印象を良好に保ち、寄付の依頼が押しつけがましく感じられないようにします。
アンケートの実施
単発寄付者にはアンケートを実施し、フィードバックを得ることで、支援者のニーズや期待を把握し、対応を改善することが可能です。
これにより、支援者の満足度を高め、マンスリーサポーターへの転換を促進します。
NPO法人の資金繰りにおすすめの「ファクタリング」
繰り返しになりますが、NPO法人は銀行からの融資を受けにくい特性があります。
しかし、他の資金調達方法として「ファクタリング」が有効です。
ファクタリングとは
ファクタリングは、売掛債権を専門の会社に売却することで、早期に資金を調達するサービスです。
売掛債権があれば、営利・非営利を問わず利用できるため、NPO法人にも適しています。
2者間ファクタリングと3者間ファクタリング
ファクタリングには、2者間と3者間の2種類があります。
- 2者間ファクタリング:利用者とファクタリング会社の二者間で契約
- 3者間ファクタリング:利用者、ファクタリング会社、売掛先の三者間で契約
2者間ファクタリングは手続きが迅速で、最短即日で資金を得られますが、手数料が高めです。
3者間ファクタリングは手数料が低い反面、売掛先の承諾が必要なため、資金調達に時間がかかることがあります。
NPO法人にファクタリングがおすすめの理由
NPO法人にファクタリングが適している理由は以下の通りです。
- 信頼性の高い売掛先が多い
- 手数料の低い3者間ファクタリングが利用しやすい
- 融資が難しい場合でも利用可能
特に、NPO法人の売掛先は公的機関が多く、信用力が高いため、スムーズに契約が進みやすいです。
また、3者間ファクタリングを利用することで、手数料を抑えつつ資金調達が可能です。
さらに、融資とは異なり弁済義務がないため、経営状況に関わらず利用できます。
ファクタリングを利用するメリット
ファクタリングを活用することで、NPO法人は以下の利点を享受できます。
- 最短即日で資金を調達できる
- 資金繰りが厳しい状況でも利用可能
- 償還請求権が基本的にない
資金が急ぎ必要な際にも迅速に対応でき、資金繰りの改善が図れます。
また、売掛先の信用力を基に審査が行われるため、NPO法人でも問題なく利用できます。
ファクタリング利用の手順
ファクタリングを利用する際の一般的な流れは以下の通りです。
- 申し込み:ウェブフォームや電話、郵送でファクタリングの申し込みを行います。
- 必要書類の提出:通帳のコピーや売掛金に関する資料を提出します。
- 審査:ファクタリング会社が利用可否を審査します。
- 契約・入金:審査を通過後、契約を締結し、資金が指定口座に振り込まれます。
まとめ
NPO法人の収入源には「会費・寄付」「事業収益」「補助金・助成金」などがありますが、これらだけでは十分な活動資金を確保するのは難しい場合があります。
資金繰りが厳しくなる際には、銀行の融資は難しいことが多いため、代替手段として「ファクタリング」を活用することをおすすめします。
ファクタリングは弁済義務がなく、売掛先の信用力を基に審査が行われるため、NPO法人でも利用しやすい資金調達手段です。
資金繰りの改善や安定した活動の実現に向けて、ぜひファクタリングの活用を検討してみてください。